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2025年04月15日
怒りの感情と向き合い、自己分析を深める
皆さん、こんにちは。ベラガイア17 人材開発総合研究所の梅沢佳裕です。
私たちは日々の生活の中で、喜びや悲しみ、そして怒りなど、様々な感情を経験します。これらの感情は、私たち人間にとって自然なものであり、生きる上で重要な役割を果たしています。
今回は、特に強いエネルギーを持つ「怒り」の感情に焦点を当て、そのメカニズムを理解し、自己分析を深めることで、より建設的に感情と向き合う方法を考えてみたいと思います。
1.人間の感情とは?
人間の感情は、「喜・怒・哀・楽」といった基本的なものに加え、驚き、恐怖、嫌悪、諦め、快、不快、幸福感、愛情、嫉妬など、多岐にわたり、これらが複雑に交錯しています。
•基本的な感情と複雑な感情
「喜怒哀楽」は、一般的に基本的な感情として人間に自然に備わっているものです。一方で、嫉妬や諦めなどは、複数の基本的な感情が組み合わさったり、社会的な context や経験が影響したりして生まれる、より複雑な感情のことです。
•ネガティブな感情の役割
ネガティブな感情は、私たちにとって決して不要なものではありません。むしろ、身の危険を知らせるサインとしての重要な役割を担っています。
〔例えば〕
近くに大きな犬がいれば、恐いという感情が現れ、必要以上に近づくことを避けます。また、ストレスが溜まった時に感じるイライラは、リラックスが必要だということを知らせるサインと言えます。
このように、ネガティブな感情も、私たち自身の安全や心身の健康を守るために必要な機能を持っているのです。
2.怒りの感情のメカニズム
怒りは、私たちが生きていく上で経験する自然な感情の一つですが、その奥には複雑なメカニズムが隠されています。
•怒りは価値観が侵害されたサイン
怒りの感情が湧き上がる時、それは私たち自身が大切にしている価値観や信念が侵害されたサインであると考えられます。介護現場においては、「利用者の尊厳を守りたい」「質の高いケアを提供したい」といった価値観と現実とのズレが焦りとなり、怒りが生じることも少なくありません。また、自分の価値観や考えに合わない言動に遭遇すると、心がモヤモヤしたりイライラしたりすることがあります。
•怒りの背後にある感情
怒りの感情の内面には、不安、恐れ、悲しみ、不満、フラストレーションなど、別の感情が潜んでいることが少なくありません。
〔例えば〕
自分の理想とする介護ができないことへの葛藤が、怒りとして現れることもあります。自身の怒りの感情を深く掘り下げることで、その根底にある本当の感情に気づき、より根本的な解決に繋がる可能性があります。
3.アンガーログの活用
自身の怒りのパターンを認識し、より建設的に対処するためには、「アンガーログ(感情日記)」を活用することが有効です。
•怒りを記録してみましょう
〔日時〕いつ怒りを感じたのか、具体的な日時を記録します。時間帯によって感情の変化があるかどうかを確認できます。
〔状況〕どのような場面で怒りを感じたのかを具体的に記述します。誰に対して、どのような状況で怒りを感じたのか、場所、時間、具体的な出来事などを詳細に書き留めておきましょう。
〔感情の強さ〕その時の怒りの度合いを 10 段階で評価します。どの状況が特に強い感情反応を引き起こすのかが明確になります。
〔思考〕その時どのような考えが頭に浮かんだかを記録します。例えば、「なぜいつも私ばかりがクレームを言われるのだろう…」といった思考パターンが見えてくるでしょう。
〔行動〕怒りの感情に駆られて、実際にとった行動を記録します。声のトーン、言葉遣い、態度などを具体的に記録します。
〔代替反応〕冷静になった後、どのような対応が望ましかったかを考えて記入します。この振り返りが次回同様の状況での対応改善につながります。
•自身の怒りのパターンを分析する
2週間にわたって継続して記録することで、自分の怒りの傾向やパターンが見えてきます。どのような状況で、どの程度の強さの怒りを感じやすいのか、どのような思考や行動をとりがちなのか、といった傾向を客観的に把握することができます。
〔例えば〕
「業務に急いでいる時に横から呼び止められ中断を強いられたとき」や「自分に対して否定的なフィードバックを受けたとき」など。
特定の状況で怒りを感じやすいことが分かるかもしれません。パターンを認識できれば、事前に心の準備をしたり、対処法を考えておいたり出来るようになります。アンガーログは自分自身との対話ツールであり、自己理解を深める重要な手段となるでしょう。
4.「~べき」思考の分析と見直し
私たちが抱く「~べき」という思考は、時に怒りの感情の大きな原因となることがあります。
•「~べき」思考が怒りの原因となる場合
人はつい相手に「~するべき」「~するべきではない」という考えを押し付け、求めてしまいます。相手に対する「~べき」という思考が、怒りの原因になっている場合もあります。人は、自分が考える理想通りに物事が進まないと、イライラしてしまうことが多いものです。
•自身の「~べき」のこだわりを洗い出す
「~べき」のハードルを下げるには、まず自分の中のこだわりを洗い出すことが大事です。自分がどのような時、どのようなことに対して怒りを感じるのかを書き出し、その怒りの背景に隠れている自分の「~べき」思考を深掘りしていきましょう。
•許容範囲を広げる試み
自分の中で大切にしていることや許せないことが多いと、人はイライラする機会が増える原因にもなります。イライラしないで穏やかに過ごしたい、楽しく仕事を頑張りたい、という場合には、他人の言動や物事を許せる寛容性が必要です。
まずは自分と違う考え方の人もいるというように、価値観の違いを受け止めて許容範囲を広げてみましょう。「自分も許し他人も許す」という考え方をもつことで、イライラを制御できるはずです。
5.怒りによって変えられるものと変えられないものを考える
怒りの感情に囚われた時、その怒りによって何を変えることができるのか、そして何は変えられないのかを見極めることは、感情を建設的に管理する上で非常に重要です。
•コントロールできることとできないことの区別
イライラや怒りを感じた時は、「怒ることで変えられるものかどうか」を考えてみましょう。怒ることで「変えられるものだけ」コントロールすることを意識しましょう。まずは、最近怒ったことを書き出してみましょう。怒ったことに対して「いつまでに」「どのように」「どのくらい変わったら」自分の気持ちが収まるのか?気が済むのか?を決めておきましょう。
•変えられないことは受け入れる姿勢を持つ
いくら怒っても変えられないことやコントロールできないこと、自分にとって重要ではないことは、放置し「受け入れる」ということが大切です。
「諦める」「我慢する」とは違い「そういうもの」「そういうこともある」という受け止める姿勢が重要といえます。変えられないものだった場合は「そういうものだ」と受け入れる姿勢を持ってみてください。いくら怒っても変えられないことだとわかれば、次第にそのことへの執着心が消えて、気持ちが落ち着いて楽になるはずです。
6.まとめ
怒りの感情を深く理解し、自己分析を重ねることで、私たちは感情に振り回されるのではなく、感情と上手に付き合い、より穏やかな日々を送ることができるようになるでしょう。今回ご紹介したアンガーログの活用や「~すべき」思考の見直し、そしてコントロールできることとできないことの区別といったアプローチを、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。アンガーマネジメントは、皆さまの身近なところで活用できる手法です。
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