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2025年04月23日
介護現場でのアンガーマネジメントの応用とチームでの連携
皆さん、こんにちは。ベラガイア17 人材開発総合研究所の梅沢佳裕です。
※このブログは、日本アンガーマネジメント協会のアンガーマネジメントファシリテーター資格である梅沢が執筆しています。
•介護現場でありがちな「イライラ」の場面と対処法
◦認知症の方の言動への対応
認知症による意思疎通の困難さや攻撃性のある言動、繰り返し同じ会話。介護業務に疲弊している状況下での、このような利用者の対応は、時にイライラ感情のコントロールができなくなる一つの要因として挙げられています。
対処法としては、それらの言動が認知症のBPSDに紐づけられていると捉え理解すること、衝動のコントロール(6秒ルール)を実践すること、チーム内で小さなサインを共有し合い、事前に対応策を話し合っておくことなどが考えられます。
◦利用者からの高圧的・暴力的な態度
仮に認知症から起因した高圧的な態度や言動、暴力的な行為であったとしても、介護職にとっては精神的負担となり、怒りや苛立ちにつながってしまいます。このような介護場面では、利用者の状態像ををチームで共有し、どういう対応をするか検討しておくことが大切です。
◦利用者の夜間せん妄: 夜間せん妄による大声などは、夜間ということもあり他の利用者への影響も考慮する必要があるため、焦りからイライラすることがあります。頭では理解していても感情的になることがあるため、事前にチームで場の対処について話し合い、「想定内の対応…」と自分に呪文をかけましょう。
◦利用者によるセクハラ: セクハラはイライラだけでなく恐怖心も感じる行為であり、対処が難しい場合があります。周囲の理解がないこともストレスにつながるため、事業所として明確な基準を定め、指針に沿って臨機応変に対応行動をとる事ができる機敏さが求められます。
◦チームの連携不足: 情報共有の不足や連携ミスは、クレームにつながりやすく、余計な時間がかかるため、イライラの原因となりがちです。スムーズなチーム種連携のためには、情報共有が不可欠です。
◦個人の相性: 介護職と利用者の間にも個人の好みや価値観の違いから相性の問題は避けられず、それがイライラの原因となることがあります。「仕事だから」と割り切ることも必要ですが、利用者の拒否反応などにより仕事がしにくい状況になることもあります。
•具体的なアンガーマネジメント事例の検討
◦認知症利用者の攻撃的言動への対応:
〔事例A〕6秒ルールに取り組みながら、利用者の強い言動を「私への攻撃」ではなく「認知症の症状」として客観視することで、心理的な負担が軽減したことが示されています。
◦クレーム対応時の感情コントロール:
〔事例B〕ある介護施設では、「クッション言葉」を使用し、相手の話を傾聴することで、感情的な対立を避け、問題解決に焦点を当てることができたとされています。
◦職員間のコミュニケーションと感情共有
〔事例C〕「感情シェアタイム」や「感情のリレー」を導入し、職場の雰囲気が改善した事例が紹介されています。
※「感情シェアタイム」とは…介護現場で、利用者同士が互いの感情を共有し、心の交流を深めるためのプログラムです。主に、利用者同士が話し合うことで、共感や理解を深め、孤独感や孤立感の軽減を図る目的があります。
例:
参加者同士が日頃の出来事を話す。
好きな音楽を聴き、思い出を語り合う。
写真を見ながら、昔の思い出を話す
※「感情のリレー」とは…介護の現場において、利用者と介護者の間で感情が伝達されることを指します。特に、利用者から介護者への感情伝達、そして介護者から利用者への感情伝達を通じて、コミュニケーションを深め、より質の高い介護を提供するための重要な要素
例:
利用者の感情(喜び、不安、怒りなど)が、言葉だけでなく、表情、動作、態度などを通じて介護者に伝わることなど。
◦家族介護者への支援:
〔事例D〕家族介護者の感情を否定せず共感し、「タイムアウトカード」や「アンガーログ」といった具体的な感情管理の方法を提案することで、精神的な負担を軽減できたと述べられています。
•ロールプレイングすることも効果的
◦介護現場の場面を想定したアンガーマネジメントの実践は、研修において重要です。実際の事例に基づいたシナリオを使用し、介護者役と利用者役などを交代して演じることで、相手の立場や感情を理解する機会が得られます。感情的な場面でのチーム介入の練習も、チーム対応力を強化するために有効です。
•コミュニケーションにおけるポイント
◦「アイ・メッセージ」を活用した伝え方: 相手を責めるのではなく、「私は~と感じる」という「アイ・メッセージ」を伝えることで、対立を避け、自分の気持ちを伝えることができます。
◦傾聴と共感の重要性: クレーム対応や同僚のネガティブな感情への対応においては、まず相手の話を最後まで聴き、共感することが大切です。解決策を提示するよりも、感情に寄り添うことが重要となる場合があります。
◦同僚のネガティブな感情への対応: 同僚の感情を受け止め、まずは話を聴くことが重要です. 感情と事実を分けて考えることを促したり、解決策よりも共感を優先することがポイントです。ただし、自分自身が巻き込まれすぎないよう、適切な距離感を保つことも大切です。
•チームでのサポート体制
◦感情シェアの場の設定: 定期的なミーティングなどで、業務中に感じたイライラや不満を共有する場を設けることは、ストレスの発散につながります。批判ではなく「私は~と感じた」という形で共有することが重要です。
◦「救援サイン」の共有: 感情的に困難な状況になった際に、同僚にサポートを求めるための合図を事前に決めておくことは、チームで支え合う上で有効です。
これらの情報は、介護現場でのアンガーマネジメントの応用とチームでの連携を深める上で役立つと考えられます。アンガーマネジメントを取り入れた施設内研修では、これらの知識を踏まえ、ロールプレイングなどを通して実践的なスキルを習得することが重要です。
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